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クロロフィルについて|クロロフィル研究所

光合成
明反応では光エネルギーを受けて水を酸化し、ATP(アデシン三リン酸)とNADPH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)を生成する。一方、暗反応ではこのATPとNADPHを使って、二酸化炭素から糖などの有機化合物を作る。

 クロロフィルは葉緑素とも呼ばれ植物の葉の緑色をした色素で、植物が光合成を行うことは学校でも学び、よく知られていることです。いわゆる植物が地中から吸い上げた水と、大気中の炭酸ガス(二酸化炭素)を利用して糖などの有機物を作り出す仕組みで、その過程で必ず太陽の光が必要になります。植物は太陽の光を受けて水を分解し水素と酸素に分けます。水素は炭酸ガスと化合して糖などの合成に使われ、酸素は人間を含むほとんどの生物が呼吸をして摂取した有機物を分解し生存するためのエネルギーとして使われています。人間が水を分解して水素と酸素に分けようとするとき、水の電気分解で知られているように多くの電気エネルギーを必要とし、かつその分解効率も大変悪く困難を極める仕事です。植物はこの困難な水の分解を簡単にやってのけるのですが、その源は太陽の光なのです。しかし太陽の光を水に当ててみても何の変哲もなく水素も酸素もでてはきません。そこには太陽の光で水を分解するエネルギー、つまり化学反応を行う電気化学エネルギーに変えてやらなければならないのです。それを変換する立役者がクロロフィル(葉緑素)なのです。植物はすべてクロロフィルを持ち、光合成を行います。植物の葉が緑色をしているのはクロロフィルが緑色をしているためです。そのクロロフィルは光によって分子が持つ電子をうまく励起し、その電子を移動させ、一ヵ所(反応の場)に集めます。そこで水を分解し、糖などを合成するエネルギーに変えてくれます。光を電気化学エネルギーに変える物質、それを光触媒(光変換物質)と呼びますがクロロフィルは唯一、生物界に存在する有機の光触媒なのです。

クロロフィルと自然界

 人間は穀物や野菜、果物、肉、魚を食べて命をつないでいますが穀物や野菜、果物は植物が光合成を行った産物です。また肉(動物)や魚の食物連鎖を辿れば、クロロフィルを持ち光合成を行っている植物、プランクトンに行き着きます。つまり光合成の産物を生命体は代謝して命をつないでいるのです。その光合成はクロロフィルを持った植物にしか行うことができません。水や炭酸ガスという無機物から生命が宿る有機物へと変えてくれるものが植物と言えるわけですが、その植物はクロロフィルを所有することにより太陽の光を使って生命を誕生させたのです。つまり、生命のエネルギー元は太陽の光エネルギーなのです。そして光エネルギーを生命あるものへと転化してくれるものが、植物の持つクロロフィルなのです。

 21世紀に入り、地球規模の温暖化が始まり地球の気候系を狂わせています。地球上の植物が光合成を行うのに一年間に7千億トンの炭酸ガス(二酸化炭素)を取り込むと言われています。そのおかげで我々人間は呼吸により排出、摂取される炭酸ガスと酸素の変換バランスが成り立ち、生命を健全維持することができるのです。ところが近年、原始林の大量破壊や石炭、石油の大量燃焼により植物の光合成に必要な炭酸ガスと酸素の収支のバランスがくずれ、過剰な二酸化炭素が大気圏を覆った結果、温暖化が起こっていると言われています。その結果、地球の気候系が狂い出しているのです。植物なしでは生命を維持することはできないのです。

ハンズ・フィッシャー
ハンス・フィッシャー
(1881年〜 1945年)

 このように我々の生命にとって重要な関わりを持つクロロフィルは、昔から化学者や物理学者の関心を集め、その不思議な分子の姿を知るのに化学、物理学者の労が費やされました。まず植物の葉からクロロフィルを純粋に取り出すことに最初の研究目的がおかれ、1817年ピエール・ジョセフ・ペルティエとジョセフ・ベイネミ・カヴァントゥーによってクロロフィルは粗製の抽出物として初めて分離され、分子構造解明の開始となりました。しかしクロロフィルを純粋に分離することは困難を極め、クロロフィルを単体で分離することは不可能だという説まで発表されたのです。このような研究の混迷を極めた後、1906〜14年の間にウィルシュテッターとその共同研究者達がクロロフィルaとbを単体で分離することに成功し、分子の骨格構造を確立し研究の基礎を築きました。そして1920年になり、米国のJ.B.コナントとドイツのハンス・フィッシャーはクロロフィル分子全体の正しい構造式を決定すべく取り組み、やっと1939年に正しい構造式を発表しました。ウィルシュテッター及びフィッシャーはこの業績によりノーベル賞を受賞しました。それを機にクロロフィルの研究熱は一段と高まり、光合成のメカニズムとそれに関与する分子の機構の研究がめざましく発展してきました。そして近年では光合成のメカニズムにおけて水を分解する初期過程の謎が、だいぶ明らかにされつつあります。光合成の研究はまさにクロロフィルの純粋分離と、その分子構造の持つ電気物理学の解明に目的が置かれているのです。そして現在のエネルギー問題においても石炭、石油依存を脱し水素ガスを用いるクリーンエネルギーがクローズアップされており、植物の光合成を模倣する研究が多方面で行われています。

 一方、医学の分野においてもクロロフィルと人間の健康に対する研究も純粋なクロロフィルが分離されるようになると急速に進んでいきました。クロロフィルは光によりその働きが発揮される以外に、光が届かない身体の中でも有効な働きがすることが判ってきました。クロロフィルに脱臭作用があることは古くから知られておりましたが、1919年には造血機能の促進、1922年には細胞を活発化させ創傷や潰瘍の治癒を促進させることが医学論文で報告されました。1966年ごろより多くの医学分野において数々のクロロフィルの医学効果が発表されるようになりました。脳神経系に意外な効果が認められ続いて、すい炎に対する劇的な効果が認められ、肝炎と腎炎にも新たな効果が発表されました。

 世間でクロロフィルと呼ばれているものの大半は人工のクロロフィルか、分解変性した阻製のクロロフィルです。クロロフィル研究所で精製しているクロロフィルは、植物の葉の中にあるそのまま無傷の分子構造を持っている天然クロロフィルのため、極めて高価なものです。それは植物から分離する際、高度な技術と時間が必要なことと、一旦生体から取り出すと光や空気中の酸素に犯され変性してしまうからです。そのため植物から分離する際、光や熱、酸素の変性を受けないように、生葉中の脂質、油脂、タンパク質や他の色素などから純粋に分離する際、有機溶媒のみを使って分離させるため高度な技術が必要になります。生葉中からわずか0.1%、乾燥粉末にされた緑藻(クロレラ)、藍藻(スピルリナ)からは0.5〜1%程度しか得られません。このように天然クロロフィルは不安定でかつ分離技術が難しく、時間もかかり高価なため人々は安定で安価なクロロフィルを作り出すようになったのです。それは植物の葉成分の抽出物をアルカリにより鹸化(脂質成分の加水分解)して水溶化させ、酸により沈殿させることなどの繰り返しにより分離精製を行うものです。その過程でクロロフィル分子の持つマグネシウム (Mg)は取り除かれ、フィチル基も除かれます。電子伝達系に関与するクロリン環、V環も開列し、他の側鎖の基も酸化されます。マグネシウムの除かれたクロロフィルは茶褐色のため、それを補うため銅 (Cu)や鉄(Fe)に置き換え緑色に復元します。このようなクロロフィルは銅クロロフィリンナトリウム(CuクロロフィルNa)、鉄クロロフィリンナトリウム(FeクロロフィルNa)と呼ばれ、本来の天然クロロフィルの持つ光触媒、電子伝達性は失われてしまいます。そして銅、鉄クロロフィリンナトリウムは水溶性で安定、使いやすくきれいな緑色を有するため、クロロフィルと同等にされてしまったのです。それでは単に着色料としての食品添加物としか言えません。天然クロロフィルは人工クロロフィルとの基本的な違いに、以下のような用途で使用されます。

研究用試薬:大学や研究機関において光合成の研究、エネルギー変換の研究、環境計測の研究などに使われています。

医学的研究:クロロフィルより化学変性させたフェオフォーバイドはPDT(光化学治療)に使われ、レーザ光線と併用することによる、がん治療の研究が進んでおります。またそれはレーザと併用することにより耐性細菌に対する死滅効果があり、クロロフィル研究所は大学との共同研究によりその製品化にむけ取り組んでいます。
クロロフィル研究所と大学との共同研究を一部ご紹介。
・光感受性物質Naフェオフォーバイトaを用いた光線力学的治療(PDT)によるMRSA関節炎マウスの治療効果の検討
・光感受性物質Na−フェオフォーバイドaを用いた光線力学的治療(PDT)によるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)殺菌効果の検討

健康食品:クロロフィルは遠い昔よりその医学的、薬学的効能効果が知られた物質で健康食品としても使われております。

吸収スペクトル
クロロフィルa(クロロフィル研究所製)と銅クロロフィリンナトリウム、鉄クロロフィリンナトリウムの吸収スペクトル